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論文AdventCalendar(-1)日目: Jamming user interfaces: programmable particle stiffness and sensing for malleable and shape-changing devices

論文AdventCalendar(-1)日目: Jamming user interfaces: programmable particle stiffness and sensing for malleable and shape-changing devices

AdventCalendar(-1)日目です。

論文を読むとやっぱり体力の減り方がとんでもないです。

サーベイするだけだと多分1時間30で1本終わるのですが、しっかり読むと辛い気持ちがあります。あと、英語を読めるようになって爆速で読めるようになると嬉しいと思うので勉強します...

 

それでは本日もやっていき。

 

今回読んだ論文

Sean Follmer, Daniel Leithinger, Alex Olwa, Nadia Cheng, Hiroshi Ishiiによる、

Jamming user interfaces: programmable particle stiffness and sensing for malleable and shape-changing devices”を読みました。

アブスト

  • 本研究では柔軟で形状が変化するユーザー インターフェイスのシンプルで効果的な方法としての粒子ジャミングに焦点を当てている
    • 材料の剛性をプログラムで制御することで、触覚フィードバック、変形、調整可能なアフォーダンス、制御ゲインが可能になる
  • モバイル デバイスに適したコンパクトで低電力の空気圧ジャミング システムと、高速で静かな作動と光学形状センシングを備えた新しい油圧ベースの手法を紹介する
    • 1)屈折率が一致する粒子と流体、2) 静電容量と電界のセンシングを使用した高解像度の形状センシングを行う
    • ジャミング構造が入力を感知し、インタラクション デバイスとして機能することを可能にする
  • 4 つのモチベーション プロトタイプを通じて、ジャミングによって実現される柔軟で有機的なユーザー インターフェイスの設計空間を探る

 

結論

Jamming User Interfaceの維持性に関する図のスクリーンショット
  • 粒状粒子のジャミングを、展性、柔軟性、形状変化に富んだユーザー インターフェイスに適用する方法を実証した
    • それに伴ってプログラム可能な剛性と材料特性の制御によって可能になるインタラクション ボキャブラリーを実証した
  • インデックスマッチング光学センサーまたは静電容量形状センシングによるセンシングを組み込むことで、ジャミング インターフェイスを高解像度の入力デバイスにすることができる
  • ジャミングをモバイル アプリケーション向けに小型化する方法も示した
  • ジャミングの幅広い用途は、HCI 全般、特に有機ユーザー インターフェイスへの適用性と可能性を強調している

 

実装・検証

研究中で作成されたアプリケーションのスクリーンショット
  •  ジャミング活性化技術で形状と材料の剛性を制御し、ボリュームを物理的に変更または作動させる程度を制御する方法の概要
    • 詳細は[35]
    • ジャミングシステムの制御には4つの主要要素が必要
      • ジャミング可能な素材 / ハウジングアセンブリ(通常は非多孔性の柔軟な膜)
      • 真空源またはポンプ(真空を作ることのできるもの)
      • 圧力制御バルブ
      • 圧力センサ
    • 圧力とシステムの剛性で必ず線形関係があるわけではない[36]
  • 差圧ジャミング圧力と作動時間
    • 差圧ジャミング圧力

      • ジャミング可能なモジュールの大気圧と内部容積圧力の差として定義される

      • 差圧ジャミング圧力を上げて、システムの機械的剛性を高めることができる

      • ポンプの定格流量に基づいて、システムがジャミングするまでの時間を推定できる

      • 真空ポンプがジャミング可能なモジュールに直接接続されている単純なシステムでは、ジャミングを誘発するために除去する必要がある流体量 Vr は、次のように概算できる

aaa
    • Vb はジャミング可能なセグメントの現在の内部容積(余分な液体を含む)、Vg、mg、rhog はそれぞれ粒子の固体容積、質量、物質密度となり、余分な容積を除去する時間 tr は次のようになる

      • Qpはポンプの体積流量
      • 追加の真空は、差圧とシステムの剛性を増加させる

      aaa
    • ジャミング速度は通常、真空ポンプと圧力制御バルブの流量によって制限される

      • インラインリザーバーを使用することで速度を上げることができる
      • 正圧源を追加することで詰まり解除速度を上げることができる[1]
  • ジャミングは単一のアクチュエータを使用して、さまざまな剛性を持つ連続した自由形状の「ロック」と「ロック解除」が電気いらずで実現できる
  • ジャミング構造の形状を劇的に変化させるには受動ソースまたは能動ソースが必要
    • 受動ソースだとユーザの力、重力など
    • 能動ソースだと空気圧エアマッスルなど
  • 粒状粒子を個別の要素マトリックスと組み合わせたハイブリッドアプローチにより、さまざまな剛性を持つより滑らかで高次元の表面を実現できる
  • 弾性またはバネ仕掛けの特性を持つ受動的で変形可能な形状をボリュームに追加して復元力を与えることもできる
    • 粒子を詰まりさせるために使用される単一のアクチュエータは、逆操作で詰まり解消を加速するために使用されるだけでなく、詰まり形状を膨張させるためにも使用できる

形状変形をセンシングするための素材の構造を示した図のスクリーンショット
  • 油圧ジャミングシステムは、粒子間の間隙流体として空気(室温では気体)の代わりに液体を使用することで作成できる
    • 液体は非圧縮性であるため、油圧システムは空気圧システムと比較して効率が高く、剛性が高く、静かで、より大きな応力と負荷に耐えることができる
    • 屈折率が一致する流体と粒子を使用することで光学的センシングと透明性も可能になる
    • インターフェースの3D 形状を光学的に検知したい(ここではカメラを使用)
      • 粒子の屈折率 (n) に一致する流体を使用することで、屈折を抑制し、光学的に透明な体積を作成できた
      • ホウケイ酸ガラス(パイレックス)ビーズ(n=1.474)と植物油(n=1.4674~1.4736、温度と密度により異なる)の組み合わせを使用した(完全に透明ではない)
        • 不透明度は、2 mW 赤色レーザーと光度計を使用してさまざまな参照厚さで測定し、ガラスビーズのみと比較した
        • 背面に取り付けられたカメラは屈折率が一致する流体とガラスビーズで構成され、透明なプラスチックの底部と上部の柔軟な不透明シリコン スキンで構成された透明なジャム可能なボリュームを透過して撮影できる
          • 光学技術を使用して表面を再構築できるようになった
    • 透明ボリュームを通した構造化光からの深度
      • deForm システム [8] に似たカスタム IR 構造化光 2.5D スキャン システムを選択した
      • IRカメラによって、23×18 cm2 の領域から 20 フレーム/秒で 2.5D 画像を再構成する
      • 空間解像度は 28 ピクセル/cm、深度範囲は 0~6 cm で、深度解像度は 1~2 mm
    • 構造化光を使用したタッチ センシング
      • 構造化光キャプチャ システムからのグレースケール表面画像も、タッチ ポイントの追跡に使用された
      • IR プロジェクターがシリコン スキンを照らすため、IR 拡散照明タッチ システムと同様に機能する
    • タッチ センシングと組み合わせた高解像度の形状および変形追跡を提供できる(油圧ジャミングシステムに限定される)
    • カメラと光学センサーの配置によってシステムの柔軟性が制限される
    • 不完全なインデックス マッチングによって透明度が低下するにつれて深度が深くなるとセンシングが複雑になる
    • 静電容量式センシング
      • 静電容量式距離および形状センシングは、センサーに現在加えられている力に依存しない
        • 絶対入力と相対入力の両方に優位である
      • 距離測定
        • 電極間の既知の誘電体の量は、静電容量によって測定でき、それらの間の距離と相関関係がある
        • 電極が 100 kHz の範囲の基準矩形波を受信電極に送信しARM マイクロコントローラーの 12 ビット A/D コンバーターによってサンプリングされる
          • 同期アンダーサンプリングを使用して信号を復調し、電極間の静電容量に比例する元の振幅を復元する
          • 32個のサンプルを平均化してホワイトノイズを除去する
      • 誘電特性と感度
        • 誘電特性と感度を組み込むには、伸縮性と曲げ性を備えた電極が必要
          • 表面抵抗率が低く、長さの 2 倍まで伸ばせる、銀メッキの 76% ナイロン、24% 弾性繊維の布を使用した
          • パイレックス ガラス ビーズを誘電体として使用したときに、妨害体積にガラス ビーズが入った水を使用すると平均誘電率が 30 に近づき、より長い距離での検知解像度が向上した
      • 異なる次元の応用的なセンシング
        • 変形を感知するために送信電極と受信電極を行と列に分けることは、静電容量型形状感知電極レイアウトの 1 つのアプローチ
        • 各電極は送信機と受信機の両方として機能する
        • 異なるレイアウトの隣接する電極間の静電容量を測定することで、伸張、傾斜、またはねじれの入力を定量化できる
      • 静電容量式タッチセンシングの統合
        • 統合マルチタッチ入力もサポートしている
        • 柔軟なグランド層を、同じ基準信号を送信する導電性糸のラインに置き換えることで、相互静電容量式タッチセンシングが可能になる
          • システムと静電容量結合し、信号が減少することを利用して接触をセンシングする
          • 細い導電性糸 (柔軟性のためにジグザグパターンで縫製)を使用することで送信電極と受信電極のペア間の結合が弱くなるため、ユーザーからの静電容量結合に対してより敏感になる

関連研究

  • Jamming in Mechanical Engineering
    • ジャミング可能なグリッパーは単一の真空ポンプで作動しますが、従来のグリッパーのほとんどは、関節または自由度ごとに 1 つのアクチュエータ (モーターなど) が必要である
    • SoftRobotics[35, 36, 6], 体内を移動する医療機器[23]、建造物[16]でも応用されている
  • Malleable and Organic UIs
    • 本研究では、ジャミング インターフェースを、柔軟で有機的な UI の領域に位置付けている
    • ジャミングされていない状態では、柔軟なスキンを備えており、変形や操作が可能であるため、柔軟入力デバイスとして適している
    • ジャミングされている状態では異なる材料との相互作用をエミュレートしたり、材料に対する制御の度合いを高めたりするために、材料の剛性を簡単に変更できる
    • 有機的なUIの研究ではフレキシブルデバイスでの入力手段として曲げと伸縮を研究してきた[32, 21, 12]
    • ジャミングは、これらのインターフェースとインタラクションできる程度と、インタラクションの感覚を制御するために使用できる
  • Shape-changing UI
    • さまざまなタスクに対してより多くのアフォーダンスをユーザーに提供したり、触覚的な操作性を高めたり、物理的な形状を変更することで触覚フィードバックを提供したりすることができる[7]
    • ジャミングは、特定の形状の剛性を高めながら、別の形状では簡単に作動できるようにすることで、この種のインタラクションを可能にする
    • ジャミングインターフェースはユーザーが形状を定義でき、可能な形状の幅広い設計空間を提供できる
  • Variable Stiffness for Haptic Feedback
    • 高速局所触覚フィードバックに有利ですが、ジャミングによってはるかに広い領域で剛性を変えることができるため、さまざまな他のアプリケーションやデバイススケールが可能になる
    • ジャミングは磁性流体よりも遥かに高い負荷応力にもたえることができる

議論

  • 形状とタッチの感知を備えたジャミング システムを設計する場合、アクティベーション、感知、インタラクティブ アプリケーションおよびプロトタイプのアプローチで実証されているように、いくつかの設計上の決定が重要である
    • ジャミングのパフォーマンスはアクティベーション技術と粒子の種類に依存する
    • 油圧システムと高摩擦粒子はより広い動的剛性範囲を提供する
    • インライン リザーバーを使用してアクティベーションの速度を加速できる
  • 油圧ジャミングは、透明なボリュームを介した光学的な形状とタッチの感知を可能にし、強力で高速かつ静かな操作を提供する
  • モバイル デバイスや組み込みデバイスの場合、空気圧ジャミングは、周囲の空気を流体リザーバーとして利用できるため、軽量でシンプル、比較的小型であるという利点がある
  • モバイルジャミングシステムにおける重力の影響は、複数のコンパートメントを使用して材料の配置を制限することでも対処できる
  • ネクストステップとしてはジャミング技術をアクチュエーションされたディスプレイやデバイスに統合することを検討することがある
  • 導電性ファブリックは、使用されているシリコンの半分のひずみしか許容できないため、システムの柔軟性が制限されている
  • 伸縮可能な静電容量形状センシングのために、埋め込まれた液体金属 [29] や塩水など、埋め込まれた電極と配線に対する他のアプローチを調査する予定もある
  • より広いコンテキストでもジャミングは利用できるだろう

参考文献(気になったもののみ掲載)&次読むもの

理論系

[35] Steltz, E., Mozeika, A., and Rembisz, J. Jamming as an enabling technology for soft robotics. Electroactive Polymer Actuators and Devices (EAPAD), 764225.

 

[1] Amend, J., Brown, E., Rodenberg, N., Jaeger, H., and Lipson, H. A Positive Pressure Universal Gripper Based on the Jamming of Granular Material. IEEE Transactions on Robotics (2012), 341--350.

 

[7] Coelho, M., and Zigelbaum, J. Shape-changing interfaces. Personal and Ubiquitous Computing 15, 2 (July 2010), 161--173.

 

実装系

[8] Follmer, S., Johnson, M., Adelson, E., and Ishii, H. deForm: an interactive malleable surface for capturing 2.5D arbitrary objects, tools and touch. In UIST '11, ACM Press (Oct. 2011), 527--536.

 

[36] Steltz, E., Mozeika, A., Rodenberg, N., Brown, E., and Jaeger, H. JSEL: Jamming Skin Enabled Locomotion. 2009 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems (Oct. 2009), 5672--5677.

 

[6] Cheng, N., Lobovsky, M., Keating, S., Setapen, A., Gero, K. I., Hosoi, A., and Iagnemma, K. Design and Analysis of a Robust, Low-Cost, Highly Articulated Manipulator Enabled by Jamming of Granular Media. IEEE ICRA (2012), 4328--4333.

 

[29] Park, Y.-L., Majidi, C., Kramer, R., Beérard, P., and Wood, R. J. Hyperelastic pressure sensing with a liquid-embedded elastomer. Journal of Micromechanics and Microengineering 20, 12 (Dec. 2010), 125029.

 

アート系・展示会

なさそう

 

感想

Jamming User Interfaceは圧力、電気的制御、光学的測定ができ、形状の状態保存と再現ができる、というところが強いと感じた。また、新しく「剛性」という要素をインターフェースへ取り込んだところは面白く、Ephemeral User Interfaceの基礎となる研究であると考えられた。有機的なマテリアルと圧力・剛性を組み合わせているプロジェクトとしてはbioLogicがあるが、個人的にはもっとマテリアルが世界には沢山存在するので、マテリアル自体がセンシングでき、アウトプットできる、コンピューターでそれをセンシングしたり、よりコンピュータ自体も取り入れたアフォーダンスの増大の研究にも興味を持っているかもしれないと感じた。距離の離れたインターフェースもしくは距離が近くて塊として連鎖反応をするインターフェースにも興味が出てきたかもしれない。

 

——以上——